フリースクール「ラヴニール」の日常と、その他イベントのお知らせ・ご報告。他にはフリースクールとは? 学校に行かないあいだに何があった? などの連載をしています。
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■ 母方の親戚 ■
母には、妙なこだわりがありました。「人に言われたことはかたくなに守る」。あまりにもそれが理不尽だと文句を言うくせに、いざその指示をしてきた人を目の前にすると、その文句をぶつけることなく、普段どおりのふりをしてすごすのです。後に親戚の葬儀の席で、その親戚からはかなり理不尽なことを言われていたと聞かされました。自分としては、いまさら親戚のことをそんなふうに言うのだと、少し悲しくなりました。
その言われていた理不尽なことが、「自分も思うように実家に帰ることができなかったんだから、あなたも実家に帰ってはいけない」でした。
夏休みには、母、自分、弟で母方の祖父母の家に遊びに行ったことはありますが、夏休み以外に帰省した覚えはないし、父が一緒に行った覚えはありません。
本当かどうかはわかりませんが、さらに自分が学校に行かなくなってからは、こうも言われていたようです。
「自分の子どもが学校に行かないのよ? 子育てもうまくできない人が実家に帰るだなんて、そんな権利ないに決まっているでしょ」
こういった理不尽な理由をつけられて、様々な制約をつけられていたようでした。そして母は、それをかたくなに守っていたのです。かたくなに守っていたと言うよりは、「お前はダメなやつだ」と否定され、どうにも太刀打ちできなかったのかもしれません。
このような状態でしたので、母方の親戚とはたまにしか会えませんでした。ただ、この「たまにしか会えない距離感」が、救いだったのも事実です。
祖父母が遠方に住む親戚のところに泊まりがけで出かけるあいだに、母方の祖父が立ち寄ったことがありました。学校のある平日のことでした。ですが、自分は学校には行っていません。
「ヒロね、学校に行っていなくて。その代わりの場所に行っていて――」
と母が打ち明けたとき、母方の祖父からかえってきた反応は、
「そうなのか」
このたったひとことだったそうです。
その後遊びに来たときも、祖父は自分に、
「ま、じいちゃんも、大人になってから高校に行ったぐらいだしな。昼間働いて、そのあと学校に行った」
「そうなの?」
「じいちゃんたちのときは、戦争中でまともに勉強できんかったからな。だから大人になって働きながら、夜になって高校に行くって人も案外いた。ヒロも、今は勉強できなくても、そのうちちゃんと勉強できるようになるぞ」
ちょっと筋がそれたような気はしましたが、母が打ち明けたときの第一声、「そうなのか」は、自分には、「へえ、それで? だからどうした?」と言われたように感じられました。学校に行っていないことで「そりゃ大変だ!」と大騒ぎされず、学校に行っていようがいなかろうが、ヒロはヒロだろ? と言ってもらえた気がして。
二人とも成人してからですが、母方の祖父のところには、母なしで、弟と一緒に遊びに行ったことがあります。弟と二人でも案外何とかなるとわかってから、何度も行かせてもらいました。そのぐらい、自分たちきょうだいにとって、母方の祖父との距離感はちょうどいいものだったんだと思います。
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プロフィール
HN:
フリースクール「ラヴニール」
年齢:
14
Webサイト:
性別:
非公開
誕生日:
2010/04/01
自己紹介:
2010年4月より大阪市にて活動をしているフリースクールです。日常の様子、思うことなどを更新しています。過去には、学校に行かなかった体験談、フリースクールって何なん? も、連載していました(カテゴリ分けしてあります)。
ブログ投稿者:
代表と、スタッフ1名で担当しています。
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