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フリースクール「ラヴニール」の日常と、その他イベントのお知らせ・ご報告。他にはフリースクールとは? 学校に行かないあいだに何があった? などの連載をしています。 Posting of comments like the following will be declined: ・Comments other than Japanese. ・Comments that seems to be in Japanese through translation website.
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体験談2018.1.17

■ 学校に行けるようになるなら何でもする ■

 あせっても何もできなくて、何もできないけれど遅れていくのは事実で、どうすることもできないなか、担任がたまに自宅に来ていました。母は自分を担任に会わせようとしましたが、担任が無理に会わせなくてもいい、と言ったことが通じたのか、こちらから会いたいと言わない限りは会うことはありませんでした。
 その担任から、通っているうちに学校に行けるようになる場所のことを聞きました(後述の余談)。「どんなにつらくても我慢して笑顔で学校に通えるようになります」と、説明の資料には書かれており、何としてでも学校に行けるようにならなくてはいけないと思っていた自分には、とても魅力的な場所に感じられました。早速申し込み、数ヶ月待った後何度かの面接を経て、ようやく通うことが決まりました。

 そこに通うには公共交通機関を利用するしかありませんでした。親が送迎をしてもかまわなかったのですが、母は送迎のためだけに特定の場所を往復するのは無理ということで、自分だけで通った日もあります。親が一緒だったのは最初のうちで、次第に、その場所でできた友人と通うようになりました。
 親が一緒ならまだちがったと思うのですが、周囲の視線が突き刺さるように感じられました。その場所に向かう時間帯は、通勤通学ラッシュがひと段落ついたころ。自分は制服ではなく、私服。たとえ大人びた格好をしていたとしても、所詮子どもは子ども。
「この時間になぜ子どもが?しかも私服で?」
と思われているのではないかと。
 一度のみなら「病院に通っています」と言えるけれど、同じような時間帯の交通機関を利用するので、顔を合わせる乗客もだいたい同じ。これも、もし学校に通っていれば感じるものではありません。周囲の視線は学校に行かない自分への罰だと思いました。
 それでも、こういった難点を我慢してその場所へ通えば、またいずれ学校に行けるようになるんだと信じて、できるだけ通いました。ですが、いつまで経っても通えるようになりません。その場所のスタッフからはひとつひとつ課題を出されました。

朝起きて、夜に寝る。
  これはすでにクリアしています。
  
決められたときに決められたことをする。
  いやではありません。
  
外に出かける。
  いやではありません。ただし、時間限定ですが。

 その次からが難関でした。

制服を着てみる。
  見るのもいやです。
  
私服でもいいから学校の前まで行ってみる。
  これも、学校自体見るのもいやです。
  
同じく、学校の中に入ってみる。
  見るのがいやなのに、どうやって入ることができるでしょうか。
  
同じく、学校の誰かに会う。先生が望ましい。
  家庭訪問に来た担任にも会っていないのに。
 
 以下、制服を着て学校に行き誰かに会うこと。授業をひとつ受けてみること、などの段階を踏んだ課題がありました。この課題をひとつずつこなしていけば学校に行けるようになる、と。そんなことがありうるのだろうかと思いましたが、学校に行くためにはこれらをこなせないといつまで経っても行けないままで、一方でこなすのには相応の勇気が必要で、学校に行けるようになることは自分にとってはハードルの高いものでした。

 この場所でで出会った友達と仲良くなりました。今でも数人とはたまに連絡を取りあっています。課題さえなければ、ここは絶好の場所だったと思います。しかしそううまくはいかず、たまに担当指導員との面談があって、この課題のどこまでクリアできているか・できていないかを突きつけられます。長い休みの前後には、学校に行くことへの挑戦を強いられます(チャレンジウィークと呼ばれていました)。
 一方で忠実に課題をこなし、チャレンジウィークにも学校に制服で行き、通知表を受け取ってくる子もいて、その子のことをうらやましく思ったのも事実です。逆に、夜起きて朝に寝る、課題面でいえば後退する子もいて、その子のことを冷たい目で見つつも、昼夜逆転できるのがうらやましいと思っていました。

余 談

 どうやら自分が行っていた場所は、適応指導教室と呼ばれる場所だったようです。適応指導教室といっても全国規模で見ればいろいろで、自分が行っていたところは市の施設でした。中には民間委託という形だったり、もっと小さな行政単位で開催されている場所もあるようです。その場所によって内容もちがってくるとは思いますが、自分が行っていたところは、段階を踏んで課題を出され、最終目標は学校に復帰することに設定された場所でした。学校には戻らないと頑なに拒む子もいたので、そういった子には不向きな場所だったかもしれません。
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プロフィール
HN:
フリースクール「ラヴニール」
年齢:
14
性別:
非公開
誕生日:
2010/04/01
自己紹介:
2010年4月より大阪市にて活動をしているフリースクールです。日常の様子、思うことなどを更新しています。過去には、学校に行かなかった体験談、フリースクールって何なん? も、連載していました(カテゴリ分けしてあります)。
 
ブログ投稿者:
代表と、スタッフ1名で担当しています。
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