フリースクール「ラヴニール」の日常と、その他イベントのお知らせ・ご報告。他にはフリースクールとは? 学校に行かないあいだに何があった? などの連載をしています。
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■ 放っておいてくれ・1 ■
途中で、父に見つかってしまいました。
帰ると早速、問い詰めが待っていました。弟はちょうど入れちがいぐらいで小学校に行ったあとでした。
「なんで家出なんかしたのか、言いなさい」
黙っていました。しかしこのまま黙秘させてくれそうにもありません。
「言いなさいって言っているでしょ」
自分としては、机の上にメモを残していたはずです。「こうするしかなかった」と。
「――こうするしか、なかった」
目を合わせるのが怖くて、下を向いて言ったように覚えています。
「ちゃんとこっちを見ろ!人の顔も見れんのか!」
父に怒鳴られたって、見たくても見れません。
「『こうするしかなかった』じゃないでしょ!それじゃ理由がわからない」
そう母に言われたって、こっちだって何がなんだかよくわかっていないのです。死ぬことが頭をよぎったとは言い出せませんでした。他の理由も思い当たらなかったし、思い当たったところでつくったウソになる。そのウソを、自分の地位や名誉を守るために使ったとしても、どうせ自分の意見は親の都合のいいように解釈され、捻じ曲げられるんじゃないかという不安。そして結局、自分が悪かったことになる。
自分として悪かったとわかってはいるのに、改めてこうして「自分が悪かった」と強制的に認めさせられることで、さらに自分を追い詰める気持ちが膨らんだようにも思います。誰かが自分のことをわかってくれるんじゃないかという淡い期待が、家に連れ戻されたことで、この時点では消えていました。
そのとき電話が鳴りました。親のどちらかが離れるわけだし、追及の怒声は電話越しに聞こえてしまうだろうということから、ここで一旦止まりました。つかの間の安心でした。
母が出て、すぐ父にかわりました。父の話し方からして、数日前から出かけていて不在だった祖父母だとわかりました(父は、祖父母と話すときには、明らかに口調が変わるのです)。
父が受話器を置いて席に戻ると、尋問が再開されました。
「今電話で、おばあちゃんが帰ってくるって言っている」
「帰ってくるの明日じゃなかった?」
さすがに母もびっくりした様子ではありました。父はそれに取り合わず、
「それも、本当は今日も夜まで用事が入っているけど、それを途中までにして帰ってくるって言っている。――お前は、これがどういうことかわかっているのか?」
その前に、祖母に伝わっていたことに驚きました。自分が家出をしたのは今朝。連れ戻されてから今まで、そんなに時間は経っていないのに(あとでわかったことですが、自分がいないとわかってすぐに、祖父母が宿泊していた親戚の家に連絡をしていたようです)。
自分として何も言えず、黙っていました。黙ってはいたけれど、両親が反省の言葉を言わせたいことは気づいていました。
「わかってるか、って聞いてるでしょ?お父さんだって今日、あんたのために会社休んで」
お前のしたことは、周りのみんなを巻き込んで迷惑をかけているんだぞ?それをわかっているのか?と言いたかったのでしょう。自分としても迷惑をかけたということはわかっています。それでも今、答えることができないのです。自分として他人に迷惑をかけるとわかっていても、それでも、まずは家を出ることしか考えられなかったのです。繰り返しになりますが、こうするしかなかったのです。ですが、自分なりに出した唯一の答えはすでに親に否定されてしまっているため、同じことを繰り返せません。
どのぐらい尋問が続いたかは時計を見ていないので覚えていませんが、やっと解放されました。解放されたというより、これ以上何も言わない自分に対して、親もあきらめた様子でした。
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プロフィール
HN:
フリースクール「ラヴニール」
年齢:
14
Webサイト:
性別:
非公開
誕生日:
2010/04/01
自己紹介:
2010年4月より大阪市にて活動をしているフリースクールです。日常の様子、思うことなどを更新しています。過去には、学校に行かなかった体験談、フリースクールって何なん? も、連載していました(カテゴリ分けしてあります)。
ブログ投稿者:
代表と、スタッフ1名で担当しています。
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