■ やっとつかんだもの ■
他にもいますが、この3名に特にお世話になった(Cさんには今でもお世話になっています)ので、ここにあげました。
実はBさん、Cさんについては、両親とも「直接あいさつをしたい」と言ってきました。
「あれこれ手配してくださったり、貴重な休みなどを割いてくださったんだろうから、ご迷惑をおかけしましたって、お茶菓子のひとつでも持っていかないと」
と。
その気もちは大事ですし、Bさん、Cさんに対して失礼かとも思ったのですが、両親の申し出は、あえて断ることにしました。せっかく自分としてのテリトリーをもつことができたのに、両親が介入してくることで、そのテリトリーがバランスを失ってしまうのではないかと思ったからです。
とはいえ、そう直接言ったって両親が退かないのはわかっていたので、相手が忙しいなどの理由をつけて、引っ越すその日まで、また引っ越してからも、両親とBさん、Cさんを接触させないようにしました。引っ越すと宣言してから引っ越す日までを短くしたのも、この理由からです。
ひとり暮らししてみて、ですか? 確かにいろいろと大変だなと思う部分はあります。何もかもが自分の責任になること。寝坊するのも、食材を切らしてしまうのも、振込みを忘れて手数料を取られるのも。しかしこういった「全部自分の不注意」が、いい意味で緊張感をもたらしている気がします。親元にいたら、支払期限をすぎたら手数料を取られることも気づかぬままだったでしょうし、食費を安く、でもそれなりのものを食べたいので、スーパーの安売りの時間を狙ってみたり。それら「当たり前」のことがすべて新鮮で、大変だとは思いつつ、実際にはそう大変だとは思っていない気がします。
何と言ってもうれしいのは、両親に監視されているかもしれない、という緊張感がないこと。引っ越し荷物の運び込みが終わり、一通りの家具を組み立てて真っ先に開封したダンボールは、「イラストを描くための道具」でした。中学に行かないあいだ、描きたくても描けなかった絵。それを今、思いきり描くことができます。キッチンと部屋を仕切るドアを開けておく・おかないも、自分の自由です。
そしてやっと、親との距離が適正になった気がします。
実家とは完全に縁を切ったわけではないので、最低でも2年に1回ぐらいは帰るようにはしています。そのときに、
「生活は大丈夫か? 大変じゃないか? ○○はどうなんだ?」
と心配されるのが、少々苦痛なことがあります。これらを聞かれたあとに必ず、
「困ったときにはちゃんと言えよ」
と言ってくるからです。
その言葉は、今ではなく、もっと前にほしかった。今何も困っていないときに言われたって。本当に困っているときには何も言ってくれなかったくせに。何度も何度も、そう思っています。
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